出会えたり出会えなかったり　season4

仕事が終わったあとﾋﾛｼさんが引っ越し祝いをやるそうなのでカレー鍋におよばれしてきました。僕と吉田さんでﾋﾛｼさんの部屋に行きました。ﾋﾛｼさんの部屋は前の彼女と一緒に住んでいるとき何回も行ったことがあるのですがそのころとすっかり部屋の雰囲気が変わっていてびっくりしました。前の部屋にあった家具とかそのほかのインテリアは全部なくなっていてかなりすっきりした印象です。まえよりこっちの方が全然い一すねーと言ったらママさんの娘がうれしそうになっていました。特にママさんの娘のセンスをほめたつもりではなかったのですが。僕の部屋に一時おいていた荷物と現在の部屋にある荷物のつじつまがどう考えても合わなかったのでこっそりﾋﾛｼさんに聞いてみたら前の彼女が全部持っていったそうです。買ったばかりだった亀山モデルの３２インチＴＶも持っていってしまったそうです。あれはﾋﾛｼさんのボーナスで買ったはずなんですがシビアな世の中です。慰謝料のほかにもﾋﾛｼさんが失った財産は大きいみたいです。

ﾋﾛｼさんはしきりに僕に対して「おまえが縁結びしてくれたようなもんだよなー」と言ってきました。確かに最初にママさんの娘からメールをもらったのは僕でそれをﾋﾛｼさんに譲ったことから今回のごたごたは始まりました。そういう意味では縁結びとかいかにもよさげないい方より自分自身では疫病神だったんじゃないかなと思ったりもしますがﾋﾛｼさんはいい方に解釈してくれているみたいなのでまあいいか、と思うことにしました。

それにしてもいきなりメールの相手が変わったことをママさんの娘にﾋﾛｼさんは最初どのように説明したのか不思議だったので聞いてみたら正直に僕にはもうすぐ結婚する彼女がいてそれを隠してお付き合いすることはできないということで代わりに紹介されました、とメールしたらしいです。代わりと言う割にはﾋﾛｼさんにも当時同棲している彼女がいたわけでうさんくさい言い訳だったわけです。いまとなってはﾋﾛｼさんの元彼女を除いては幸せに収まっているようなので結果オーライでしょうか。

その話をしていたらママさんの娘が結婚の予定はいつなの？と聞いてきました。僕は今のところまったく結婚については考えていなかったのでちょっと間をつくってしまいましたがとりあえず後半年後くらいかなあと答えました。特に半年という期間に意味はなかったのですがなんとなくそう答えました。ﾋﾛｼさんが横からすでに一緒に暮らしているしなーと言うと吉田さんがだから普段はへやにいないのかあ、と言ってきました。吉田さんはとなりの部屋なので僕が普段部屋に戻っていないことはまるわかりです。寮費がもったいないなーといわれてそういえば僕や吉田さんが住んでいる部屋は会社のかりあげで一応寮という形で提供されているので毎月２万を給料から天引きされていることを思い出しました。いまさらですがもったいないです。彼女の部屋の家賃は彼女が払っているのでもし僕が寮を出れば寮費で払っていた分を彼女に渡すことができると思いました。でも、寮を出るとなると僕の荷物を全部運び込まないとならないので今の彼女の部屋の間取りではどう考えても手狭になってしまうでしょう。カレー鍋を前にいろいろ悩んでいたらﾋﾛｼさんがここのマンションに引っ越してくれば、と提案してくれました。ﾋﾛｼさんの住んでいるマンションは駅から少し離れていることもあり間取りの割には家賃が安く、なぜか空き部屋も結構あるらしいです。いいアイディアだと思いかえったら彼女に提案してみようと思いました。すると吉田さんまで空きがあるんだったらおれもこっちに越して来ようかなあと言いだしました。でも、吉田さんは単身赴任でいずれは地元に帰るんですよねと聞いたところ、少し複雑な表情になりそれがなあ、もしかするとおれはもう帰らないかもしれないとのことです。どうやら家庭がうまくいってないっぽいです。プラスこっちでのきままな生活がすっかり気にいってしまい最近の基本線は生涯単身赴任で行きたいそうです。ひとそれぞれ、いろんな事情を抱えているものです。

帰宅したら彼女はすでに寝ていたので引っ越しのことはあした話そうかと思います。